ファクトリーオートメーション(FA)とは? 押さえておきたい基本情報まとめ
少子高齢化による生産年齢人口の減少により、深刻な人材不足に直面している製造工場もあるのではないでしょうか。この傾向は今後も継続するといわれているため、人間の手による“ものづくり”に依存している場合は、製造工程を見直すことをおすすめします。
そこでご提案したいのが「ファクトリーオートメーション(FA)」です。ロボットやツールなどのテクノロジーを活用することで、人間に頼りすぎることなく、生産性や品質の向上を図れます。
この記事では、ファクトリーオートメーションの概要をはじめ、導入するメリット・デメリット(課題)、一般的な導入方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.ファクトリーオートメーション(FA)とは
- 2.ファクトリーオートメーション(FA)を導入するメリット
- 2.1.生産性の向上
- 2.2.品質の向上
- 2.3.人材不足の解消および省人化・省力化
- 2.4.作業者の安全確保
- 2.5.作業者の心理的負担の軽減
- 3.ファクトリーオートメーション(FA)を導入するデメリット・課題
- 3.1.大きな初期投資が必要になる
- 3.2.完全な自動化ができない場合がある
- 3.3.専門知識を持った人材が必要になる
- 4.ファクトリーオートメーション(FA)の導入手順
- 4.1.1.課題を明確にする
- 4.2.2.ファクトリーオートメーションを導入する目的と範囲を明確にする
- 4.3.3.ファクトリーオートメーションを導入する手段を検討する
- 4.4.4.ファクトリーオートメーションを試験導入し、効果検証を行う
- 4.5.5.ファクトリーオートメーションの範囲を拡大する
- 5.まとめ
ファクトリーオートメーション(FA)とは
ファクトリーオートメーション(Factory Automation)とは、ロボットやシステムを導入して工場の製造工程を自動化することです。一般的には、部品の組み立てや製品の運搬、生産管理を自動化するケースが多く、人件費の削減や作業スピードの向上、品質の向上・維持などを目的として行われます。
ファクトリーオートメーションは、さまざまな業界の工場で採用されており、その背景には「少子高齢化・生産年齢人口の減少」が関係しています。
▼日本における高齢化の推移
画像引用元:内閣府『令和6年版 高齢社会白書 第1節 高齢化の状況』
日本では少子高齢化が進行しています。ご覧のとおり、高齢化率(65歳以上の人口割合)は右肩上がりで推移しており、それに伴って生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少しているのが現状です。これはつまり、日本全体で労働力不足が深刻化していることを意味します。
人間の手による“ものづくり”に依存している工場の場合、特に人材不足に悩まされかねません。少子高齢化および生産年齢人口の減少は今後も続くと予測されているため、多くの工場で「人間に代わる労働力を確保する手段」として、ファクトリーオートメーションが注目を集めています。
出典:内閣府『令和6年版 高齢社会白書 第1節 高齢化の状況』
ファクトリーオートメーション(FA)を導入するメリット
工場にファクトリーオートメーションを導入するメリットは以下のとおりです。
生産性の向上
特定の製造工程・作業をロボットやツールで自動化することにより、作業者はほかの業務に集中して取り組めるようになります。同時に2つ以上の工程・作業を進められるうえに、ロボットやツールは夜間に稼働させることもできるため、生産性の向上が期待できます。
品質の向上
ロボットやツールは精密で均一な動作を繰り返すことに優れているため、ファクトリーオートメーションを導入した場合、安定した品質で製品を生産することが可能です。また、異物が混入していないかX線で確認するといった、人間には困難な品質チェックもできるため、精密かつ徹底した品質管理を実現できます。これにより、不良品の発生を抑えながら、高品質な製品を安定して提供できるようになります。
人材不足の解消および省人化・省力化
製造工程の自動化は、省人化・省力化につながります。従来の生産量を維持しながら人員を削減できるため、人材不足が深刻化している工場にとっては大きなメリットになるといえます。また、人員を削減できる分、人件費も減らせるため、例えば浮いた資金を付加価値の高い工程や作業に充てることも可能です。
作業者の安全確保
工場では重量物の運搬や高所での作業など、危険を伴う業務を行うことも珍しくありません。また、化学物質や粉じん、騒音などによる健康被害のリスクもあります。ファクトリーオートメーションを導入した場合、こうした危険かつ過酷な作業や環境から作業者を解放できるため、安全性を確保しやすくなります。
作業者の心理的負担の軽減
危険を伴う作業や過酷な環境での作業をロボットまたはツールで代替することで、作業者の心理的負担が軽減します。これにより作業者の満足度や定着率が向上するため、人材の流出が減少するほか、優秀な人材を確保しやすくなります。
ファクトリーオートメーション(FA)を導入するデメリット・課題
ファクトリーオートメーションを導入することにはデメリット・課題もあります。ただし、これらは工夫やSKソリューション株式会社のサービスによって軽減・回避することが可能です。
大きな初期投資が必要になる
ファクトリーオートメーションを導入するには、工場にロボットやシステムを設置する必要があり、大きな初期投資がかかります。また、設置後も定期的なメンテナンスが必要になるため、その分の費用も考慮しなければなりません。
効率化を図りたい工程や作業のすべてを自動化するとなると、初期費用は少なくとも数十万円〜数百万円、場合によっては数千万円~数億円の投資が必要となるため、まずはスモールスタートで自動化に取り組むのがおすすめです。早急に自動化が必要な工程・作業を明確にして、そこから少しずつ自動化することで、初期費用を最小限に抑えられます。
また、要件を満たせば「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」をはじめとする補助金を受給できる場合もあるため、積極的に活用することをおすすめします。
完全な自動化ができない場合がある
ファクトリーオートメーションによって、すべての工程・作業を自動化できるわけではありません。例えば、作業者が長年の経験で培った技術をロボットで再現するのは困難ですし、ひとつのロボットやツールで対応できる範囲には限りがあります。また、工場全体を自動化するとなると製造ラインごと変更・調整しなければならず、大きな手間が生じます。これらの点から、完全な自動化は現実的ではないといえます。
ただし、SKソリューション株式会社では一部の自動化が叶うサービスを提供しています。製造ラインごと変更することなく、ひとつずつ順を追って自動化ができるため、将来的には完全なるファクトリーオートメーションが叶うかもしれません。
専門知識を持った人材が必要になる
製造工程や作業を自動化しても、作業員の存在は必須です。ロボットやツールが正常に稼働しているかを確認する必要がある上に、トラブルや故障が起きた際には人の手でメンテナンスしなければなりません。そのため、IT・デジタルやロボティクス、オペレーションなどの専門分野に精通した人材が必要になります。
とはいえ、そうした人材は多くないため確保するのは困難です。採用するにあたって従来以上の労力がかかる可能性があります。また、既存の作業員をデジタル人材へと育成するにも、それなりの時間と費用がかかります。
SKソリューション株式会社では、システムの構築から設計・立ち上げまで総合的なエンジニアサービスを提供しています。そのため、社内に専門知識を持った人材がいなくてもスムーズにファクトリーオートメーションを導入することが可能です。
ファクトリーオートメーション(FA)の導入手順
ファクトリーオートメーションをスムーズに導入するためには、一般的な導入手順を押さえておくことが重要です。
1.課題を明確にする
はじめに、工場や製造工程の課題を明確にします。「非効率な工程がある」「ヒューマンエラーが多い作業がある」など、課題を具体的に洗い出すことで、自動化に必要なロボットやシステムを選定しやすくなります。
2.ファクトリーオートメーションを導入する目的と範囲を明確にする
次に、ファクトリーオートメーションを導入する目的を定めます。課題を解決するのはもちろん、そのうえでどのような成果をもたらすのかまで具体的に考えることで、ロボットやシステムに求める技術・機能まで明確化できます。
目的と同時に検討したいのが、ファクトリーオートメーションを導入する範囲です。課題解決のためにはどの工程・作業を自動化したほうがよいかよく考え、スモールスタートを意識して最小限の範囲を設定してください。
3.ファクトリーオートメーションを導入する手段を検討する
次に、ファクトリーオートメーションを導入する手段を検討します。ロボットやシステム、AI、画像処理技術など、自動化を実現できる手段は多種多様です。そのため、事前に定めた目的のほか、ニーズや予算を考慮して検討することが重要です。そのうえでシミュレーションを行い、自動化後の成果やリスクまで把握できると、より自社に適した手段を選択しやすくなります。
4.ファクトリーオートメーションを試験導入し、効果検証を行う
次に、ファクトリーオートメーションを試験導入します。ロボットやシステムが実際の製造工程・作業でどのように稼働するかを確認し、問題点や改善点を洗い出します。もし目的を果たせそうになかったり、思うような成果が得られなさそうだったりする場合は、前項の3に戻り改めて手段を検討してください。
試験導入の結果、特に問題がなければ本格導入に進みます。とはいえ、範囲は最小限にとどめ、スモールスタートで自動化することをおすすめします。
5.ファクトリーオートメーションの範囲を拡大する
本格導入後、目的の達成や成果が確認できたら、ファクトリーオートメーションの範囲を広げていきます。徐々に範囲を拡大することで、製造工程・作業に及ぶリスクを最小限に抑えながら自動化を図れます。
まとめ
この記事では、ファクトリーオートメーションについて以下の内容を解説しました。
- ファクトリーオートメーションとは、ロボットやシステムを導入して工場の製造工程を自動化すること
- ファクトリーオートメーションを導入するメリットは、主に「生産性の向上」「品質の向上」「人材不足の解消および省人化・省力化」「作業者の安全確保」「作業者の心理的負担の軽減」の5つ
- ファクトリーオートメーションを導入するデメリット・課題は、主に「大きな初期投資が必要になる」「完全な自動化ができない場合がある」「専門知識を持った人材が必要になる」の3つ
- ファクトリーオートメーションをスムーズに導入するためには、一般的な導入手順を押さえておくことが重要
ファクトリーオートメーションの導入は、生産性の向上や省人化・省力化など、工場にとってうれしいメリットをもたらすだけでなく、作業員の働き方改革にもつながります。その一方でデメリット・課題もありますが、自社で工夫したり信頼できるパートナーを見つけたりすれば、回避することも可能です。この機会にぜひ製造工程・作業の自動化を検討してみてください。
『SKソリューション株式会社』では、ファクトリーオートメーションの要件定義から、システムの構築・設計、設置工事、立ち上げまでトータルサポートします。生産技術者のリソース不足を解消しながら自動化を実現できるのが強みです。また、本社のショールームにてさまざまなロボットを使った事前検証をご覧いただくことも可能ですし、デモ機を体験いただける出張にも柔軟に対応しています。「どのようにファクトリーオートメーションを導入したらよいか分からない」という場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。