AMR(自律走行搬送ロボット)とは|導入するメリット・デメリットと活躍する作業
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、ファクトリーオートメーション(=工場の自動化)に目を向けている工場もあるのではないでしょうか。
数ある業務のうち、搬送業務の自動化にフォーカスするなら「AMR(自律走行搬送ロボット)の導入」を検討してみてください。
この記事では、AMRの概要や特徴、AMRを導入するメリット・デメリット、AMRが活躍する作業について解説します。
目次[非表示]
- 1.AMR(自律走行搬送ロボット)とは
- 1.1.AMRとAGVの違い
- 2.AMR(自律走行搬送ロボット)を導入するメリット・デメリット
- 2.1.メリット
- 2.1.1.人と協働できる
- 2.1.2.人材不足と属人性を解消できる
- 2.1.3.コストの削減が期待できる
- 2.2.デメリット
- 2.2.1.導入費がかかる
- 2.2.2.ロボットが動くスペースの確保が必要
- 3.AMR(自律走行搬送ロボット)が活躍する作業
- 3.1.人と協働する作業
- 3.2.作業工程やレイアウトの変更が多い作業
- 4.まとめ
AMR(自律走行搬送ロボット)とは
AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)とは、その名のとおり、搬送に特化したロボットです。搭載されているカメラやセンサーで人や障害物を認識しながら環境地図を作成し、自らの位置を推定したうえで経路を探索して、目的地まで自動で走行します。
AMRの特徴は、人と協働できる点です。例えば、物流業では「人がラックから商品を取り出してAMRに設置し、搬送はAMRに任せる」といった協働が可能です。もちろん、AMRは人や障害物を避けて走行するため、業務の邪魔になりません。
AMRは製造業や物流業を中心に導入されており、人材不足を解決するソリューションとして注目されています。製品や荷物を搬送するタイプだけでなく、ピッキングをサポートする機能を備えたタイプもあり、さまざまな種類が登場しています。
AMRとAGVの違い
AMRと類似する機械に、AGV(Automatic Guides Vehicle:無人搬送車)があります。自動で搬送作業を行うという点ではAMRと変わりありませんが、走行方法や移動範囲、障害物への対応などに違いがあります。
▼AMRとAGVの違い
AMR
(自律走行搬送ロボット)
|
AGV
(無人搬送車)
|
|
走行方法 |
カメラやセンサーで人や障害物を認識しながら環境地図を作成し、経路を探索して目的地まで自動で走行する |
磁気テープや二次元コードなどの誘導体に沿って、事前に決められた一定のルートを走行する |
移動範囲 |
広い範囲を自由に移動できる |
移動範囲を広げるには、誘導体の設置が必要になる |
障害物への対応 |
自動で障害物を感知して回避し、再ルーティングを行う |
回避できず停止したままになる |
運用の難易度 |
環境地図を取り込めばよいだけなので容易 |
誘導体の設置工事が必要になるため困難 |
人との協働 |
できる |
難しい |
AMR(自律走行搬送ロボット)を導入するメリット・デメリット
工場にAMRを導入することには、さまざまなメリットとデメリットがあります。それぞれを理解し、導入するか検討してみてください。
メリット
AMRを導入するメリットは以下のとおりです。
人と協働できる
従来のAGVは、事前に決められたルート上しか走行できないため、不規則な動きをする人との協働には向きません。AGVを導入する際は、人との接触を避けるために「AGV専用のエリア」を設けて稼働させる必要があります。
一方で、AMRは人との協働を前提としたロボットです。人や障害物を認識し自動で回避するため、作業エリアを分けることなく人と協働できます。
人材不足と属人性を解消できる
AMRを導入した場合、フォークリフトや台車を使用した搬送作業が不要になります。人が機械を操縦して搬送する手間を削減でき、浮いた時間はより複雑で創造的な業務に充てることが可能です。
これにより、搬送業務を担っていた従業員がより多くの業務に携われるようになり、結果として人材不足と属人性を解消しやすくなります。
コストの削減が期待できる
AMRを導入してファクトリーオートメーションを進めることで、人件費や教育費、採用費などのコストを削減しやすくなります。
もちろん、AMRの導入費はかかりますが、長期的に見ると支出が減ってコストの削減につながります。
デメリット
AMRを導入するデメリットは以下のとおりです。
導入費がかかる
先ほども触れましたが、AMRの導入には費用がかかります。その内訳は、AMR本体の費用、AMRを制御するシステム関連の費用、インフラの整備費用などです。
AMR本体に関しては数百万円ほどするため、導入するにあたってまとまった費用を用意しなければなりません。
ロボットが動くスペースの確保が必要
AMRを導入するには、ロボットの幅+数センチの通路幅を設ける必要があります。
製造業や物流業の場合、製品や荷物を搬送するために通路幅がもともと広い傾向があります。しかし、曲がり角は狭くなっているケースもあるため、あらためてロボットが問題なく動けるかどうかを確認しなければなりません。
AMR(自律走行搬送ロボット)が活躍する作業
AMRは搬送業務を担うロボットとして、製造業や物流業のさまざまな作業をサポートしています。
特に「人と協働する作業」と「作業工程やレイアウトの変更が多い作業」では、AMRが大いに活躍します。
人と協働する作業
繰り返しになりますが、AMRは人との協働を前提としたロボットのため、従業員と同じエリアで稼働させることが可能です。
例えば、製品の振り分けを従業員が行い、搬送はAMRに任せるといった分業ができます。
また、AMRのなかには同じエリアで働く従業員に配慮した機能を備えているタイプもあります。例えば『SKソリューション株式会社』のAMRは、飛び出した人を検出し、停止もしくは回避しながら走行します。メロディの再生機能および発声機能で、周囲に注意喚起をすることも可能です。
このように、AMRは人が作業・往来するエリアで搬送を自動化できることから、人と協働する作業のサポートに最適といえます。
作業工程やレイアウトの変更が多い作業
AMRは環境地図を作成し、経路を探索して目的地まで自動走行する仕組みです。
仮に作業工程やレイアウトが変更になっても、環境地図をあらためて作成し、目的地を再設定すれば、引き続き搬送を任せることができます。
SKソリューションで取り扱っているAMRは、進入禁止エリアや一方通行などの管理もでき、現場に合わせた運用が可能です。
レイアウトを変更する際は変更箇所のみを修正すればよいため、急な変更にも迅速に対応できます。
まとめ
この記事では、AMRについて以下の内容を解説しました。
- AMR(自律走行搬送ロボット)は搬送に特化したロボット
- AMRの導入には「人と協働できる」「人材不足と属人性を解消できる」「コストの削減が期待できる」などのメリットがある
- 一方で「導入費がかかる」「ロボットが動くスペースの確保が必要」といったデメリットもある
- AMRは「人と協働する作業」や「作業工程やレイアウトの変更が多い作業」で活躍する
AMRは、指定されたエリアを無軌道で安全に走行する搬送ロボットです。自動搬送を実現できることから、工場に導入すれば省人化や生産性の向上につながります。
「搬送業務を効率化したい」という場合は、ぜひAMRの導入を検討してみてください。
『SKソリューション株式会社』では、搬送ロボットの導入を含むファクトリーオートメーションの要件定義から、システムの構築・設計、設置工事、立ち上げまでトータルサポートします。生産技術者のリソース不足を解消しながら自動化を実現できるのが強みです。
また、本社のショールームにてさまざまなロボットを使った事前検証をご覧いただくことも可能ですし、デモ機を体験いただける出張にも柔軟に対応しています。「どのようにファクトリーオートメーションを導入したらよいか分からない」という場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。