協働ロボットとは? 誕生した背景と導入するメリット・デメリット

協働ロボットとは

人材不足や人件費の削減を目的として、協働ロボットの導入を検討している方もいるのではないでしょうか。

協働ロボットはさまざまな業界の製造工場で活躍しており、製造ラインの自動化に貢献しています。また、生産性の向上やコストの削減など、さまざまなメリットをもたらす「人間に代わる労働力」として大いに期待されています。

この記事では、協働ロボットの概要とともに、協働ロボットを導入するメリット・デメリットについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.協働ロボットとは
  2. 2.協働ロボットを導入するメリット
    1. 2.1.1.労働力を確保できる
    2. 2.2.2.生産性が向上する
    3. 2.3.3.コストの削減につながる
    4. 2.4.4.品質が向上する
    5. 2.5.5.省スペースで活用できる
    6. 2.6.6.柔軟性が高い
    7. 2.7.7.人と一緒に作業ができる
    8. 2.8.8.ティーチングしやすい
  3. 3.協働ロボットを導入するデメリット
    1. 3.1.制約が発生することがある
    2. 3.2.リスクアセスメントが必要になる
    3. 3.3.協働ロボットを扱える人材が必要になる
  4. 4.まとめ


協働ロボットとは

協働ロボットとは、安全機能を搭載した“人と協働するロボット”のことです。

従来のロボット(産業用ロボット)は人が行う作業と切り離し、安全柵で囲った空間で活用されていました。そのため、一部の工程・作業を自動化することはできても、人との協働作業に活用することはできませんでした。また、ロボットを設置するスペースの確保が必要になるため、基本的には大きな工場でしか導入できず、中小企業をはじめとする小規模な製造ラインには不向きでした。

そうしたなか、2013年の労働安全衛生規則の改定により、安全柵なしでロボットを導入できるようになり、人とロボットとの共同作業が可能になりました。こうした背景から誕生したのが協働ロボットです。

協働ロボットは、安全柵で人と隔離する必要がなく、むしろ人と同じ空間に設置できます。スペースが限られている場合も導入しやすいため、中小規模の製造ラインにも気軽に設置することが可能です。また、人と協働するロボットだからこそ、人がそばにいるときは控えめに稼働し、万が一人と接触した場合は停止する仕様になっているため、安全面を確保しながら特定の工程や作業を自動化できます。



協働ロボットを導入するメリット

工場に協働ロボットを導入することには、以下の8つのメリットがあります。


1.労働力を確保できる

協働ロボットは、昼間はもちろん、夜間にも稼働させることが可能です。終業後も作業をしてもらえるため、大きな労働力になり得ます。作業員が急遽欠勤した場合も協働ロボットで代替でき、人材不足に悩まされづらくなります。


2.生産性が向上する

人が行う作業の生産性は、その人物の経験やスキル、集中力に依存する傾向があり、作業員によってばらつきがあります。

一方で協働ロボットは、一定の生産性が見込まれるため、必要に応じて人的リソースを追加したりロボットの数を増やしたりと、生産性をコントロールすることが可能です。また、ロボットは健康被害が懸念される過酷な環境でも稼働し、一定の生産性を維持します。これらの点から、協働ロボットの導入は生産性の向上につながるといえます。

さらに、協働ロボットに単純作業を任せれば、浮いた時間に作業員が新たな知識やスキルを習得しやすくなります。これにより作業員の作業においても、生産性の向上が期待できます。


3.コストの削減につながる

これまで人が行っていた作業を協働ロボットで自動化することで、人件費や残業代、人材募集にかかる費用や手間を削減できます。さらに、従来の産業ロボットに比べて安全柵などの付帯設備が不要な場合も多く、その分の設備投資も抑えられます。

これにより、例えば浮いた分の資金をさらなる設備投資に充てることが可能です。


4.品質が向上する

人による作業では、製品の品質にばらつきが生じます。生産性と同様に、品質もその人物の経験やスキル、集中力に依存する傾向があるためです。

これに対し、協働ロボットは同じ作業をミスなく正確に行うため、品質の均一化が期待できます。詳しくは後述しますが、ティーチングによって品質をコントロールすることもできるため、例えば経験値が高い作業者の品質水準をインプットさせることで、品質の向上を図ることも可能です。


5.省スペースで活用できる

従来のロボットは安全柵で囲った空間でしか活用できませんでしたが、協働ロボットは設置するにあたって安全柵が不要です。また、多くの協働ロボットは軽量かつコンパクトであるため、ロボットの設置スペースが限られている工場、および中小規模の製造ラインにもスムーズに導入できます。


6.柔軟性が高い

協働ロボットは柔軟性が高く、製造工程や作業にあわせて動作を修正・変更できます。誰でも容易に操作できるユーザーインターフェースを搭載していることが多いため、これまでにロボットを導入したことがない工場および担当者も柔軟にシステムを調整することが可能です。


7.人と一緒に作業ができる

従来のロボットは人と隔離した環境でしか活用できませんでしたが、協働ロボットはその名のとおり、人と一緒に作業することが可能です。「製造工程の一部を協働ロボットに任せて残りは人が作業する」というように、製造ラインを半自動化することも可能なため、より柔軟に効率的な製造ラインを構築できます。


8.ティーチングしやすい

多くの協調ロボットは、人がロボットを直接動かすことで動作を記憶させる「ダイレクトティーチング」に対応しています。専門的な知識がなくても容易かつ直感的に動作を教えられるため、スムーズに理想の動きを実現させることが可能です。



協働ロボットを導入するデメリット

工場に協働ロボットを導入することには、メリットがある一方でデメリットもあります。ただし、一部のデメリットは工夫やSKソリューション株式会社のサービスによって軽減・回避することが可能です。


制約が発生することがある

協働ロボットはすべての作業に適用するわけではありません。例えば、軽量でコンパクトなために、重量がある荷物の運搬には不向きです。また、一定の生産性を維持するからこそ、場合によってはタクトを満たさない可能性があります。

そのため、協働ロボットの導入を検討する際は、“自社の製造ラインや商品の特性”と協働ロボットの相性をよく確かめることが重要です。場合によっては従来のロボットのほうがスムーズに自動化を進められることもあるため、よく吟味することをおすすめします。


リスクアセスメントが必要になる

どのタイプのロボットであっても、導入時には事故やけがのリスクを想定したリスクアセスメントが欠かせません。

協働ロボットは一定の安全性が確保されていますが、リスクが完全になくなるわけではないため、導入時には必ずリスクアセスメントを実施する必要があります。


リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積り、優先度の設定、リスク低減措置の決定の一連の手順をいい、事業者は、その結果に基づいて適切な労働災害防止対策を講じる必要があります。

引用元:厚生労働省 職場のあんぜんサイト『リスクアセスメント


工場によっては、製造ラインを変更したり協働ロボットの速度を制限したりする必要があり、この手間や影響はデメリットになり得ます。また、なかにはそもそもリスクアセスメントに詳しくなく、どう取り組めばよいか分からない工場もあるかもしれません。

SKソリューション株式会社』では、セーフティ機器の活用から運用時のリスク低減まで、リスクアセスメントに関するアドバイスができる体制を整えています。疑問や不明点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。


出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト『リスクアセスメント


協働ロボットを扱える人材が必要になる

協働ロボットはダイレクトティーチングに対応していることから、稼働させるうえで専門知識は不要です。しかし、適宜行う調整や定期的なメンテナンスには専門知識が必要であり、不具合や故障が生じた際にも適切な対処が求められます。そのため、どの工場でも協働ロボットを扱える人材の確保が必須です。



まとめ

この記事では、協働ロボットについて以下の内容を解説しました。


  • 協働ロボットとは、安全機能を搭載した“人と協働するロボット”のこと
  • 協働ロボットを導入するメリットには「労働力を確保できる」「生産性が向上する」「コストの削減につながる」「品質が向上する」などがある
  • 協働ロボットを導入するデメリットは、主に「制約が発生することがある」「リスクアセスメントが必要になる」「協働ロボットを扱える人材が必要になる」の3つ


協働ロボットは、人と同じ空間で製造工程や作業をサポートするロボットです。導入するにあたってデメリットもありますが、それ以上に多くのメリットを得られるのが魅力です。

協働ロボットは今後さらに進化し、活用方法の多様化も進むと考えられています。そのため、今のうちから導入を検討してみることをおすすめします。

SKソリューション株式会社』では、協働ロボットの導入を含むファクトリーオートメーションの要件定義から、システムの構築・設計、設置工事、立ち上げまでトータルサポートします。

生産技術者のリソース不足を解消しながら自動化を実現できるのが強みです。また、本社のショールームにてさまざまなロボットを使った事前検証をご覧いただくことも可能ですし、デモ機を体験いただける出張にも柔軟に対応しています。

「どのようにファクトリーオートメーションを導入したらよいか分からない」という場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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可搬重量別協働ロボット比較表掲載

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