
AMRで工程間搬送を自動化|オムロンLD90を活用したクリーンルーム事例
クリーンルーム内の工程間搬送をオムロン社製AMR「LD90」により自動化した事例です。従来の台車搬送で発生していた作業中断や電話による調整業務を削減するとともに、最大30kg級のトレイ搬送に対応することで、作業者の身体的負担を大幅に軽減しています。
搬送経路上に設置された自動ドアはモバイルI/O BOXと連携させることで、AMRが停止することなくスムーズに通行可能な仕組みを構築しました。1回あたりの搬送時間は平均2〜5分と安定しており、導入から約2週間で本稼働に至るなど、現場への定着も順調に進んでいます。
課題:台車搬送で本業が中断/電話での受け渡し調整が発生/重量トレイ搬送の負担
解決策:AMR(LD90)で工程間搬送を自動化+自動ドア連携(モバイルIOBOX)
成果:台車往来の削減・混雑抑制、平均2〜5分の搬送で運用(2週間で本稼働)
【企業情報】
ホシデン九州株式会社 様
従業員数:130名
事業内容:電子デバイスの開発・製造
導入ご担当者:生産技術ご担当者様
▼AMRとは
目次[非表示]
- 1.導入前の課題|台車搬送による作業中断と受け渡し調整
- 2.導入の決め手|要件の適合と技術・サポート面の優位性
- 2.1.最大30kgのトレイの積載搬送に対応
- 2.2.自動ドア連携(モバイルIOBOX)
- 3.導入内容|4工程から検査場までの工程間搬送をAMRで自動化
- 4.工夫した点|狭路対応・安全強化・自動ドア制御など
- 4.1.狭路走行への対応
- 4.2.安全性強化|LED照明の活用
- 4.3.自動ドア連携|モバイルI/O BOXと信号制御
- 4.4.上物の自社制作
- 4.5.3Dプリンター活用/配線の美観対策
- 5.導入までのタイムライン
- 6.導入効果|工程間搬送の平均搬送時間は2〜5分(搬送自動化の定着)
- 7.社内の声|LD定着までの運用改善と現場評価
- 8.つまずきと課題|法令・防火扉対応とAMR導入の最適化
- 9.今後の展望|AMR搬送自動化の拡張(LD+協働ロボット)
- 10.まとめ
- 11.AMR導入を検討する方へ|仕様確認・事前検証・相談方法
導入前の課題|台車搬送による作業中断と受け渡し調整
AMR導入前は、搬送作業のたびに作業者は本来の業務を中断し、台車で製品を運んでいました。事前に搬送先との調整を電話で行う必要があり、コミュニケーションにも手間がかかっていました。また、1回の搬送で多量の製品を積載するため、重いものでは30kgになることもあり、高齢の方や女性スタッフにとっては大きな負担となっていました。
さらに、各作業場から検査場へ搬送を行うのに通路の往来が発生していたためこうした背景から、搬送の自動化を検討することになりました。
導入の決め手|要件の適合と技術・サポート面の優位性
最大30kgのトレイの積載搬送に対応
大量の電子デバイスを一度に運ぶため、トレイを複数積載(最大30kg)でき、クリーンルーム運用に対応したAMRを探していました。複数メーカーを比較した結果、OMRONのLD90は細かなプログラム設定が可能で汎用性が高いこと、ソフトウェア操作がわかりやすいことが大きな魅力となりました。さらに、営業・エンジニアのレスポンスの速さやサポート体制の充実も、導入を後押しした重要なポイントでした。
▼搬送ロボット比較表
▼LD スペック 詳細
▼FLEET SIMULATOR|運用前の検証/最適化/リスク低減
必要な搬送時間/タクトを満たす必要台数/必要な通路幅などシミュレーションできます!
自動ドア連携(モバイルIOBOX)
搬送経路には自動ドアがあり、モバイルIOBOXを活用してLDから自動ドアへ信号を送ることで、AMR側から自動で開閉を制御できる点も魅力でした。これにより人の介入を減らし、運用効率が向上しています。
加えて、海外のお客様も多く、自動化が進んでいる市場環境への対応が必要でした。こうした背景から、会社としてもAMR導入を積極的に後押ししてくれたことが、導入を決意する大きな要因となりました。
導入内容|4工程から検査場までの工程間搬送をAMRで自動化
環境:クリーンルーム
AMR:OMRON LD90(以下、LD)、台数1台
搬送対象:電子デバイスを積載したトレイ(複数積載、最大30kg)
搬送範囲:建屋2F同一フロア内の4工程から出荷検査場までの工程間搬送
人の関与:積載および荷下ろしは人手、走行・自動ドア開閉・安全表示は自動
LD90は、トレイを複数積載(最大30kg)した状態で、工程間の搬送を自動化しています。自動ドア区間はモバイルI/OBOXによりLDから開閉信号を送ることで、人手を介さずに通過可能としました。さらに、安全性向上のため、搬送中は赤色・青色ライトによる視覚的な稼働表示を行い、周囲への注意喚起も強化しています。
工夫した点|狭路対応・安全強化・自動ドア制御など
狭路走行への対応
搬送経路には、幅約1Mの装置間を通過する狭い区間があり、当初は走行に苦戦しました。しかし、SKソリューション㈱のエンジニアサポートを活用し、ソフトウェアのプログラム作成や修正を行ったうえでテスト走行を実施。その後、走行速度やルートの微調整、障害物回避設定の最適化を重ね、その結果、狭路走行の実現に成功しました。

安全性強化|LED照明の活用
赤・青ライトで稼働状況を視覚化し、現場での認識性を向上しました。充電ドックへの接続中や非稼働時はLEDライトがOFFになり不意に動作しないことが確認できます。

自動ドア連携|モバイルI/O BOXと信号制御
搬送経路にある自動ドアにモバイルI/Oボックスを設置し自動開閉を行うことでスムーズな走行を実現しました。

上物の自社制作
AMR導入にあたり、ロボット上に扉付き荷積み部分と上載搬送スペースを自社で設計・制作。扉は搬送中に開かないよう電磁ロックで制御を行い、開閉時の視認性UPの為LEDライトを設置しました。

3Dプリンター活用/配線の美観対策
扉の取手を自社設備の3Dプリンターを活用し作成を行ったり、配線を隠すためのパネルを設置し、見た目と安全性を両立しました。

導入までのタイムライン
2024年10月:AMRによる自動化を検討/製品紹介/予算取り
2024年10月~2025年2月:仕様のとりまとめ
2025年6月:発注
2025年8月:LD納入/上物の自社制作
2025年11月:稼働に向けた現地サポート(SKS)
2025年12月:本稼働
導入効果|工程間搬送の平均搬送時間は2〜5分(搬送自動化の定着)
搬送の自動化により、台車搬送と電話調整の二重の手間が解消され、作業者は本来の業務へ集中できる時間が増えました。通路の台車往来は大幅に減少し、出荷検査場の混雑も改善。安全性と作業効率の両面で効果が確認されています。
台車往来回数:数十回/日 → AMR導入後は大幅減(定量計測中)
平均搬送時間:2~5分
社内の声|LD定着までの運用改善と現場評価
導入当初は、作業者がLDに気をつかい、避けてしまう場面もありました。しかし、2週間ほどで運用が定着し、現在ではポジティブな印象を持ちながら積極的に活用しています。
現場からは「搬送ロボットに名前を付けよう」という案も出るほど愛着が生まれており、「かわいいね」といった声も聞こえるようになりました。
立ち上げ当初は想定どおりに進まないこともありましたが、最終的には期待以上の活用ができていると評価されています。
つまずきと課題|法令・防火扉対応とAMR導入の最適化
導入にあたっては、法令や建屋の制約を踏まえながら、自動化できる作業範囲を洗い出し、費用対効果を算出するプロセスに時間を要しました。
また、AMRは多機能で柔軟性が高い反面、設定の自由度が大きいため、深い階層にある設定項目を見つけるのに苦労しました。こうした場面では、サポートを頼ることもありましたが、結果として順調に稼働しています。
今後の展望|AMR搬送自動化の拡張
(LD+協働ロボット)
今後は、LDによる工程間搬送に加えて、協働ロボットを組み合わせることで荷積み・荷下ろし・投入までを含む一連の作業の完全自動化を目指しています。
また、法令や設備制約で見送っていたエレベータ経路や渡り廊下ルートの活用についても改めて検討を進め、段階的に自動化領域を広げていく方針です。
まとめ
クリーンルームという制約環境下でも、LDとモバイルI/O BOXの連携、上物の自社制作、視認性向上の安全設計により、工程間搬送の自動化を着実に定着。人的負荷の軽減、混雑解消、処理効率の改善を実現しました。今後は段階的な拡張により投資対効果を最大化していく計画です。
AMR導入を検討する方へ|仕様確認・事前検証・相談方法
『SKソリューション株式会社』では、搬送ロボットの導入を含むファクトリーオートメーションの要件定義から、システムの構築・設計、設置工事、立ち上げまでトータルサポートします。生産技術者のリソース不足を解消しながら自動化を実現できるのが強みです。
本社ショールームではLDの実機をご用意しており、実際の動作確認や運用イメージのデモが可能です。また、導線・レイアウト・搬送条件を想定したシミュレーションによる事前検証にも対応しており、導入前の課題把握に役立てていただけます。お客様先での出張デモについても柔軟に対応しています。AMRによる搬送自動化をご検討中の方は、構想段階からでもお気軽にお問合せください。



